音楽との葛藤【アーティストインタビューvol.5 井野大雅】
今回インタビューを快諾して下さったのは井野大雅さん!
ビジュアル系?を思わせるその爽やかなお顔立ちが特徴です。
それと同時に、音楽に対する熱い気持ちを持っている方です。
今回は、そんな大雅さんの素顔に迫っていきます。
芸能界への憧れ
「小学校の時、漠然と芸能人になりたいなと思っていました」
テレビに映るキラキラした芸能人達には、憧れを抱くもの。
「テレビに出てみたい」と、誰しも一度は思った事があるのではないでしょうか。
小さい頃の大雅さんも、そんな芸能界に惹きつけられた一人でした。
2010年、「岡本真夜(まよ)」さんというシンガーソングライターのパクリ騒動があり、そのニュースは連日テレビで報道されていました。
当時、中学2年生だった大雅さんはそこで「岡本真夜」さんの存在を知ったそうです。
そのニュースと共に聞いた「岡本真夜」さんの曲がキッカケで、音楽に興味を持ち始めました。
「自分も曲を通して思いを伝えられる人になりたい」
それは大雅さんにとって、萌芽(ほうが)の様な音楽への目覚めでした。
そして、漠然とした思いがハッキリとなった瞬間でもありました。
「それまでは歌を歌うことも嫌いでしたね(笑)」
そのキッカケ以前は音楽が好きどころか、歌う事も嫌いだったという大雅さん。
けれどこのキッカケは、そんな歌嫌いさえも超える程の影響を大雅さんに与えたようです。
「ただ、親の前ではそのまま歌嫌いを装っていました(笑)」
高校時代では、バンドを組んで音楽を練習していたそうです。
もちろん親には隠れて。
「この頃に、音楽で生きていくと決めました。高校卒業後の進路としては、音楽の専門学校に行こうと思っていました」
しかし、資金面の問題でそれは厳しいと判断し、最初の1年間は和歌山県から上京して宅配の仕事をしていたそうです。
それはやはり、芸能という職業とは余りにも遠い職業でした。
「そこでの仕事では、やりがいを感じられませんでした」
それでもお金を貯めた大雅さんは、その後2年間専門学校で音楽のスキルを学んでいました。
「みんなが恋愛をしている中、在学中から路上ライブをしていました。クラスメイトはみんなライバルだと思ってました」
音楽に対する本気度、周りの惰性に流されない強い意志。
人はついつい集団に馴れ合ってしまうものですが、大雅さんはこれらの思いで2年間を充実して過ごしたようです。
「思うがままに来た感じですね。やりたい事しかやってないです(笑)」
それは、誰しもが憧れる生き方。
ファンと本気で向き合う
大雅さんの路上ライブでは、オリジナル曲であっても多くの人が足をとめてくれます。
一般的に、カバー曲は初めましてのファンへの最初のフックとなります。
しかし、なぜ大雅さんは路上でカバー曲をあまり歌わないのでしょうか。
「自分がカバーを歌っても本家は超えられないという苦手意識があります。そして良くも悪くも、自分の世界にはまり込んでしまうんです」
現在、大雅さんは半年間ライブから離れるいわゆる「充電期間」中です。
「充電期間から復活したら、カバー曲も歌いたいですね。恥じないような歌声を届けたいです」と、意気込みを語ってくれました。
その充電前、大雅さんは千葉県の市川市で週に1度、路上ライブを行なっていました。
そこは、上京して仕事を1年間やっていた時に住んでいた場所。
充電前のラストの路上ライブもその場所で行われました。
その時に印象に残った出来事があったと言います。
「中学生の子がわざわざ電車を乗り継いで、路上ライブに来てくれたんです。僕は90年代、80年代の歌が好きで、普段聴いてくれる方も30、40年代の方が多いんです。なので、そうやって中高生が聴いてくれるのは嬉しいです」
自分の為に、お金や時間を使ってくれるのはありがたいもの。
そんなファンの存在は大雅さんにとって、「自分を成長させてくれる証」だと語ります。
「自分は、曲をちゃんと届けられているんだなと感じました。ファンの為に、自分も全力で向かい合いたいです」
その優しい笑顔から、ファンの皆さんに対する感謝の気持ちが伝わってきました。
日常が創作活動
「思った事をそのままスマホのメモ帳に書き留めています。メロディーはボイスメモに録り溜めています。それらを融合していいものを作ろうとしてます」
実際に大雅さんのスマホを見させて頂くと、そのメモ帳やボイスメモにはびっしりと文章や音が、いや、大雅さんの想いが詰まっていました。
「曲を作るのが好きなんだなと思います(笑)。人生の経験がそのまま曲になっています」
そして、大雅さんは音楽を「自分が幸せである為の相棒」と表現します。
「何をしていても、頭から離れないです。ずっと頭の片隅にあります」
まさに日常が創作活動なのだなと感じました。
しかし、そんな相棒といるからこそ、感じてしまう「孤独」があると言います。
地元を離れ、音楽といういわゆるイレギュラーな道に進む。
その道のりは時に、その挑戦者に「孤独」を感じさせてしまいます。
「他の人からすると珍しいと思うんですけど、飲食のバイトに行くと同年代と会えて、リフレッシュになるんです(笑)」
そして、地元で親や友達と会えた時には、特に幸せを感じるそうです。
「こいつと友達でよかったな、この子の親でよかったなと思って貰える様な人になりたいですね」
その熱い気持ちだけでも既に、私達は大雅さんのファンでよかったと思わせてくれます。
音楽との葛藤
「最初の頃、自分ってアイドルをやっているのかな。自分は一体何をしているんだという気持ちになっていました」
大雅さんは、同性から見ても爽やかなお顔立ちをされています。
しかし当初それは、逆に大雅さんを悩ませてしまいました。
「この人は、ビジュアルだけで自分の事を応援してるのではないか、と病んでしまいました。本当は、ステージ上で笑顔を振りまいているより、一点を見つめて真剣に伝えたいんです」
「僕はアイドルじゃないのに何を求められているんだろう。人に求められている事と、自分のやりたいことが違いました。みんなの希望に応えたい自分と、嘘をつきたくない自分との葛藤でした」
その音楽との葛藤を、さらに綴ります。
「嘘を塗り固める様な日々で、その時の自分が気持ち悪い」
当時の大雅さんは、小さい頃に憧れていた「感動を与える存在」から少し外れてしまっていました。
「なりたい自分」と「求められている自分」。
「本当の自分」と「嘘の自分」。
どちらを選べばいいのでしょうか。
「自分の作った曲を褒めてもらいたい!」
大雅さんは、本当の自分になる事を決意しました。
例えそれが、一時的にファンが減ろうとも。
「やっぱり、求められると嬉しいんです。そこにつけ込まれてしまいました。でも今は冷静に考えられるようになりました」
この決断をするのは難しい筈です。
それが出来ずに一生偽り続けてしまう人もいるでしょう。
大雅さんを、本当に尊敬します。
充電期間
先述しましたが、現在大雅さんは「充電期間」として、半年間ライブから離れると決断しました。
気になるその訳は、「お世話になっている方に音楽や人格までも全否定されました。けれど、それだけ本気で向き合ってくれたんだと前向きに考えました。『色んな事を経験しろ』とも言われ、少し休む事にしました」
「この期間に成長したい」と、マイナスというより、むしろプラスになる為のお休み期間のようです。
「一旦区切りをつけて、色んな事を経験したいです。社会人に戻って資金を蓄えたり、趣味を増やしたり。ボクシングや空手も習ってみたいですね(笑)」
ボクシングや空手!?
少し驚きました。
音楽以外でも、自分の興味がある事に挑戦するその好奇心には感服します。
「この期間で自分にしか出せないものを引き上げたいです。魅力探しですね。また違う自分を探せるのでは、と思います」
つまり、「音楽以外の魅力を引き上げる期間」という事のようです。
この期間が終わった時には、新しい大雅さんに出会えることを私達は心待ちにしています。
夢
大雅さんに最終的な夢を伺ったところ、「お茶の間で輝くことです」と嬉しそうに教えてくれました。
「最近ではテレビが落ち込んでいると言われていますが、やっぱりまだまだテレビには力があると思っています。紅白にも出てみたいです」
お茶の間で輝く。
小さい頃お茶の間から見ていた、画面越しのキラキラした芸能人達。
そして今度は大雅さん自身が、その画面の向こう側へ立とうとしています。
その道のりは、決して楽ではないでしょう。
しかし、私達のお茶の間を輝かせる為に、かつてそれが、とある少年に夢を与えた様に、大雅さんはこれからも葛藤しながら、音楽の道を歩んで行きます。
井野大雅さんの
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